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最高裁平成21年9月4日判決(利息発生時期)

これは、
「いわゆる過払金充当合意を含む基本契約に基づく金銭消費貸借の借主が利息制限法所定の制限を超える利息の支払を継続したことにより過払金が発生した場合でも,民法704条前段所定の利息は過払金発生時から発生する」とした最高裁平成21年9月4日判決です。

第二小法廷では、
最高裁平成21年7月17日判決」でも、
同様に「5%利息は過払金発生時から支払う」と判断しています。

利息の発生時期について、貴重な最高裁の判決で、
最終的な結論まで、あと少しのところまで来たように思います。
(第一小法廷・第三小法廷での判断も待ちたいところです。)

判決原文については、「最高裁判例」の「全文」をご覧下さい。

↓↓↓↓↓↓ ここから 判決 ↓↓↓↓↓↓

主文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人前田陽司,同黒澤幸恵,同菊川秀明の上告受理申立て理由について

1 金銭消費貸借の借主が利息制限法1条1項所定の制限を超えて利息の支払を継続し,その制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生した場合において,貸主が悪意の受益者であるときは,貸主は,民法704条前段の規定に基づき,過払金発生の時から同条前段所定の利息を支払わなければならない(大審院昭和2年(オ)第195号同年12月26日判決・法律新聞2806号15頁参照)。

このことは,金銭消費貸借が,貸主と借主との間で継続的に金銭の借入れとその弁済が繰り返される旨の基本契約に基づくものであって,当該基本契約が過払金が発生した当時他の借入金債務が存在しなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものであった場合でも,異なるところはないと解するのが相当である。

2 以上と同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用することができない。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

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posted by 過払い太郎 at 2009年09月05日 | Comment(0) | TrackBack(0) | 判例 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

最高裁平成21年7月17日判決

これは、
「5%利息は過払金発生時から支払う」とした
最高裁平成21年7月17日判決をリライトしたものです。

ポイントは2つ。

1つめは、一連取引を認めていること。

2つめは、
「貸主が悪意の受益者である場合における民法704条所定の利息は、過払金発生時から発生する」
としていること。

利息については、
「過払金発生時」が主流ながら、「取引終了時」とする判決もあり、
下級審でも判断が分かれていましたが、
今回、最高裁でハッキリと判断されました。

当たり前と言えば当たり前なのですが、やはり嬉しいですね♪

判決原文については、
「旬刊金融法務事情 No.1875 2009年8月25日号」
をご覧下さい。

↓↓↓↓↓↓ ここから 判決 ↓↓↓↓↓↓

平成21年7月17日判決言渡
平成20年(受)第2016号不当利得返還請求事件

上告人 弁護士
被上告人 シンキ株式会社

【主文】

 1 原判決を次のとおり変更する。

 第1審判決を次のとおり変更する。

 (1)被上告人は、上告人に対し、71万9353円及びこれに対する平成19年12月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 (2)上告人のその余の請求を棄却する。

 2 訴訟の総費用は、これを3分し、その1を上告人の、その余を被上告人の負担とする。

●理由●

 上告代理人○○○○、同○○○○、同○○○○の上告受理申立て理由第3について

 1 本件は、上告人が、被上告人に対し、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引に係る弁済金のうち利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの。以下同じ。)1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると、過払金が発生していると主張して、不当利得返還請求権に基づき、その支払を求める事案である。被上告人は、上記不当利得返還請求権の一部については、過払金の発生時から10年が経過し、消滅時効が完成したと主張してこれを争っている。

 2 原審の適法に確定した事実関係の概要は、次のとおりである。

 (1)被上告人は、貸金業の規制等に関する法律(平成18年法律第115号により法律の題名が貸金業法と改められた。)3条所定の登録を受けた貸金業者である。

 (2)上告人は、平成2年4月17日、被上告人との間で、継続的に金銭の借入れとその弁済が繰り返される金銭消費貸借に係る基本契約(以下「本件基本契約1」という。)を締結した。

 上告人と被上告人は、同日から平成9年6月16日までの間、本件基本契約1に基づき、原判決別紙計算書(ただし、「2分割・前半」とある部分)記載のとおり、継続的な金銭消費貸借取引(以下「本件取引1」という。)を行った。

 (3)本件取引1における弁済は、各貸付けごとに個別的な対応関係をもって行われることが予定されているものではなく、本件基本契約1に基づく借入金の全体に対して行われるものであり、本件基本契約1は、利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には、弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意(以下「過払金充当合意」という。)を含むものであった。

 過払金充当合意に基づき、本件取引1により発生した過払金を新たな借入金債務に充当した結果は、前記原判決別紙計算書記載のとおりであり、過払金は47万1421円である。そして、被上告人は悪意の受益者であり、上記過払金に対する過払金発生時から平成19年11月30日までの民法704条所定の利息は24万6624円である。

 (4)また、上告人は、平成11年4月21日、被上告人との間で、継続的に金銭の借入れとその弁済が繰り返される金銭消費貸借に係る基本契約(以下「本件基本契約2」という。)を締結した。

 上告人と被上告人は、同日から平成19年3月16日までの間、本件基本契約2に基づき、原判決別紙計算書(ただし、「2分割・後半」とある部分)記載のとおり、継続的な金銭消費貸借取引(以下「本件取引2」という。)を行った。これにより発生した過払金は36万3447円であり、これに対する過払金発生時から平成19年11月30日までの民法704条所定の利息は1万7889円である。

 (5)上告人は、平成19年5月23日、被上告人に対し過払金を返還することを催告し、同年7月10日に本件訴えを提起した。

 被上告人は、本件取引1により発生した過払金に係る不当利得返還請求権のうち、平成9年7月10日以前の弁済によって発生した部分は、過払金の発生時から10年が経過し、消滅時効が完成していると主張して、これを援用した。

 (6)被上告人は、第1審判決後の平成19年11月30日、過払金返還債務の履行として、上告人に対し38万0028円を支払い、上告人は原審において請求を減縮した。

 3 原審は、前記事実関係の下において、次のとおり判断して、上告人の請求を3955円及びうち3046円に対する平成19年12月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で認容すべきものとした。

 金銭消費貸借取引において生ずる過払金に係る不当利得返還請求権(以下「過払金返還請求権」という。)は、法定の原因によって発生する債権であり、発生した時点から行使することが可能であるから、各個別取引によって過払金が発生する都度消滅時効が進行を開始すると解するのが相当である。本件取引1により発生した過払金返還請求権のうち、平成9年5月23日までの弁済により発生した過払金46万9683円及びこれに対する利息については、上告人が催告をして時効を中断した平成19年5月23日の時点で既に時効期間が経過していたから、時効により消滅した。

 残存している過払金返還請求権は、本件取引1につき2647円、本件取引2につき38万1336円の合計38万3983円であり、被上告人が弁済した38万0028円をこれに充当すると、残額は3955円である。

 4 しかしながら、原審の上記判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。

 過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては、同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は、特段の事情がない限り、同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である(最高裁平成20年(受)第468号同21年1月22日第一小法廷判決・民集63巻1号247頁、最高裁平成20年(受)第543号同21年3月3日第三小法廷判決・裁判所時報1479号1頁、最高裁平成20年(受)第1170号同21年3月6日第二小法廷判決・裁判所時報1479号3頁参照)。

 前記事実関係によれば、本件基本契約1は過払金充当合意を含むものであり、本件において上記特段の事情があったことはうかがわれないから、本件取引1により発生した過払金返還請求権の消滅時効は、本件取引1が終了した時点から進行するというべきである。

そして、前記事実関係によれば、本件取引1がされていたのは平成2年4月17日から平成9年6月16日までであったというのであるから、消滅時効期間が経過する前に催告がされ、その6か月以内に本件訴えが提起されて消滅時効が中断したことは明らかであり、本件において本件取引1により発生した過払金返還請求権の消滅時効は完成していない。これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は、上記の趣旨をいうものとして理由がある。

 そして、前記事実関係によれば、本件取引1及び2により発生した過払金は合計83万4868円であり、貸主が悪意の受益者である場合における民法704条所定の利息は、過払金発生時から発生するから、平成19年11月30日までに発生した同条所定の利息は合計26万4513円であるところ、同日に被上告人が支払った38万0028円を利息、元本の順に充当すると、上告人の被上告人に対する過払金返還請求権は71万9353円が残存している。

 そうすると、上告人の請求は、71万9353円及びこれに対する平成19年12月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないから棄却すべきである。したがって、これと異なる原判決を主文のとおり変更することとする。

 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

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東京簡裁平成21年7月14日判決

これは、
「5%利息は過払金発生時から支払う」とした
東京簡裁平成21年7月14日判決をリライトしたものです。

特に注目は、
「平成21年1月22日の最高裁判例は,過払金返還請求権の消滅時効が取引終了日から進行するとしたものであるが,悪意の受益者の利息発生時期については何ら判示するものではない」としていること。

いや〜、
こちらの言いたいことをズバッと言ってくれました!

簡裁の判決とはいえ、気分がスカッとします!!

判決原文については、
最新裁判例 法律相談のひろば ベル法律事務所」の
東京簡易裁判所平成21年7月14日判決」をご覧下さい。

最近の、当ブログでご紹介している判決については、
ベル法律事務所 さんの判決が多いです。

これらの判決は、
PDFファイルになっていて、証拠としても有力だと思います。

本当に、ありがたい存在です。

↓↓↓↓↓↓ ここから 判決 ↓↓↓↓↓↓

平成21年7月14日判決言渡
平成21年(ハ)第12807号不当利得返還請求事件

判 決

原告 弁護士
被告 アイフル株式会社

主 文

 1 被告は,原告に対し,38万5921円及びうち38万3230円に対する平成20年12月1日から支払済みまで,年5パーセントの割合による金員を支払え。

 2 訴訟費用は被告の負担とする。

 3 この判決は,仮に執行することができる。

事 実 及 び 理 由

第1 請求の趣旨

   主文同旨

第2 事案の概要

 1 本件は,消費者金融業者である被告から金員を借り入れ,返済することを長年継続してきた原告が,利息制限法の制限利率を適用して引き直し計算を行うと38万3230円の過払金が発生しており,被告は同額を法律上の原因なく利得しているとして,被告に対し,不当利得返還請求権に基づき,上記の過払金並びに悪意の受益者である被告が利得した上記過払金に対する取引終了日である平成20年11月30日まで年5パーセントの割合による確定利息金2691円及びその翌日である同年12月1日からから支払済みまで年5パーセントの割合による利息金の支払を求めた事案である。

 2 前提事実(争いがないか,証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)

  (1) 被告は,金融等を業としている株式会社である(争いがない)。

  (2)原告は,平成12年3月14日以降平成20年11月30日まで,別紙計算書のとおり,被告から,「年月日」欄記載の年月日に,「借入金額」欄記載の金員を借り入れたり,「弁済額」欄記載の金員を弁済した(証拠及び弁論の全趣旨)。

第3 当裁判所の判断

 1 原告は,被告が悪意の受益者であると主張し,被告はこれを否認するが,貸金業者が制限超過部分を債務の弁済として受領したが,その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り,法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者,すなわち民法704条の悪意の受益者であると推定されるものというべきである(平成19・7・13最高裁第二小法廷判決)。

   被告は,貸金業法43条1項適用の主張を行わないのであるから,被告は,原告から利息制限法所定の制限を超える弁済金が支払われ,これによって元本が完済され,過払金が発生した時点において法律上の原因がないことを知りながら原告の弁済金を受領していたものと推定することができ,民法704条の「悪意の受益者」に該当するというべきである。

 2 被告は,本件訴訟が提起されたことにより,初めて自己が弁済として受領した制限利率超過部分に保有権限が無いことを認識するに至ったのであるから,民法704条の利息を付すべき始期は,訴状送達の日の翌日からであると主張する。しかし,上記のとおり,被告は,過払金の発生した時点において悪意の受益者というべきである。

 3 被告は,悪意の受益者の利息について,取引終了日から付すべきであるとし,平成21年1月22日の最高裁判例を引用して,自己の主張の正当性を主張するが,同判例は,過払金返還請求権の消滅時効が取引終了日から進行するとしたものであるが,悪意の受益者の利息発生時期については何ら判示するものではない。受益者に利益が生じた時点で損失者には損失が生じていることを考慮すると,悪意の受益者が利益を取得した時点から損失者に対し,利息を付して返還することが公平の見地から相当である。

   そうすると,被告は,過払いとなる支払いを受けた日から,悪意の受益者として過払金に対し,年5パーセントの利息を支払うべきである。

   以上に反する被告の主張は認められない。

 4 別紙計算書のとおり,利息制限法所定の利率で引き直し計算をすると,取引終了時である平成20年11月30日の時点の原告の過払金は,38万3230円,取引終了日までの確定利息金は2691円となる。

 5 以上によれば,原告の請求は理由があるので,主文のとおり判決する。

↑↑↑↑↑↑ ここまで 判決 ↑↑↑↑↑↑

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東京高裁平成21年4月8日判決

これは、
「5%利息は過払金発生時から支払う」とした
東京高裁平成21年4月8日判決をリライトしたものです。

過払利息(5%)の発生は最終取引日とする
山口地裁平成21年2月25日判決」や
札幌高裁平成21年4月10日判決」とは、正反対の判決です。

本件では、
控訴人(1審・原告)は一連取引を主張しましたが認められず、
「第1取引」については、時効が成立しました。

しかしながら、
過払金については、発生時から利息を付加する判決となりました。

判決原文については、
最新裁判例 法律相談のひろば ベル法律事務所」の
東京高等裁判所平成21年4月8日判決」をご覧下さい。

↓↓↓↓↓↓ ここから 判決 ↓↓↓↓↓↓

平成21年4月8日判決言渡

平成20年(ネ)第6162号 不当利得返還等請求控訴事件
平成21年(ネ)第938号 同附帯控訴事件
 (原審・東京地方裁判所平成19年(ワ)第28802号)

判 決

控訴人兼附帯被控訴人 弁護士

被控訴人兼附帯控訴人 プロミス

主 文

1 本件控訴及び本件附帯控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。

 (1)被控訴人は,控訴人に対し,165万7050円及びうち82万2634円に対する平成19年3月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 (2)控訴人のその余の請求を棄却する。

2 控訴人と被控訴人との間において生じた訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを3分し,その1を被控訴人の負担とし,その余を控訴人の負担とする。

3 この判決は,主文第1項(1)に限り仮に執行することができる。

事実及び理由

第1 当事者の求めた裁判

 1 控訴の趣旨

 (1)原判決を次のとおり変更する。

 (2)被控訴人は,控訴人に対し,891万9317円及びうち549万4636円に対する平成19年3月17目から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 (3)訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

 (4)仮執行の宣言

 2 控訴の趣旨に対する答弁

 (1)本件控訴を棄却する。

 (2)控訴費用は控訴人の負担とする。

 3 附帯控訴の趣旨

 (1)原判決中被控訴人敗訴部分を取り消す。

 (2)控訴人の請求を棄却する。

 (3)訴訟費用は,第1,2審とも控訴人の負担とする。

 4 附帯控訴の趣旨に対する答弁

 (1)本件附帯控訴を棄去ロする。

 (2)附帯控訴費用は被控訴人の負担とする。

第2 本案の概要

   本件は,貸金業者である被控訴人との間で原判決別紙「プロミス株式会社利息制限法再計算シート」記載の借入れ及び弁済を継続していた控訴人が,被控訴人に対して,主位的には利息制限法所定の制限利息によって引き直し計算をした結果算出された過払金について不当利得(悪意)に基づき,予備的には不法行為等に基づいて,いずれも891万9317円の不当利得金又は賠償金,及びうち549万4636円に対する平成19年3月17日から支払済みまで年5分の割合による民法所定の遅延損害金又は民法704条前段所定の利息(以下「法定利息」という。)の支払を求める事案である。

   原審は,
   (1)控訴人と被控訴人との間の取引内容によれば,控訴人は,被控訴人との間で,昭和59年7月20日に102万4000円を返済し,被控訴人の帳簿上の貸金残高をゼロにして一旦取引を終了し(以下「第1取引」という。),昭和60年8月30日に30万円を借り入れてまた新たに取引を始めた(以下「第2取引」という。)ものと認めるのが相当であり,特段の事情の見当たらない本件においては,第1取引につき利息制限法所定の制限利率に引き直して計算して生じた過払金を,第2取引の借入金に充当したものとして計算(以下「一連計算」という。)をすることはできない,

   (2)不当利得返還請求権は,発生の都度消滅時効期間が進行するから,第1取引により発生した過払金の返還請求権は,昭和59年7月20日から10年間の経過によって時効消滅しており,また,第2取引のうち,平成9年1O月30日前に発生したものは,本件の訴え提起時(平成19年11月1日)には既に時効消滅している

   (3)被控訴人は不当利得について悪意であると認めるのが相当であるとした。

   他方(4)披控訴人が利息制限法所定の制限利率を超えて弁済を受けることが不法行為を構成するとの主張,相殺の主張及び錯誤の主張をいずれも排斥し,結論として,控訴人の請求のうち,過払金元金117万3000円及びそれまでの利息29万4582円の合計146万7582円及びうち117万3000円に対する平成19年3月17日から支払済みまで年5分の割合による法定利息の支払を求める限度で請求を認容し,その余の請求を棄却したところ,控訴人が不服を申し立てた。さらに,被控訴人も,原判決言渡し後に控訴人からの請求に基づいて利息を含め原判決認容額を弁済したとして,原判決を取り消して,控訴人の本件請求を棄却する裁判を求めて附帯控訴を申し立てた。

   なお,控訴人は,原審において被控訴人と相被告であった株式会社オー・シー・エスに対する関係でも原判決に対して不服を申し立てていたが,当審の口頭弁論終結後の平成21年3月13日の和解期日において和解が成立し,その間の訴訟は終了した。

   そのほかの事実の概要は,次のとおり付加し,又は訂正するほかは,原判決の事実及び理由欄の「第2 当事者の主張」の控訴人及び被控訴人関係部分に記載のとおりであるから,これをここに引用する。

   1 原判決3頁11行目末尾の次に行を改めて,次のとおり加える。

    「仮に,控訴人が被控訴人との問で行った取引を,昭和51年4月7目から昭和59年7月20日までのもの(第1取引)と昭和60年8月30日からのもの(第2取引)の2つの取引に分けられるとした場合でも,本件においては,

    @同一の貸主と借主との間で継続的に貸付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結されており,
    A第1取引の期間は昭和51年4月7日から昭和59年7月20日までの約8年4か月と長期の取引であるのに対し,第2取引の初回の貸付日である昭和60年8月30日との間の期間はわずか約1年1か月にすぎず,第1取引の約8年4か月の期間に対し空白期間は極めて短いこと,
    B被控訴人の「限度借入基本契約書」(乙イ10)の契約規定によれば,控訴人の信用情報は,信用情報センターに6年間登録されることになっていて,これはとりもなおさず,被控訴人が控訴人に対して将来の貸付を予定していることを示すものにはかならないこと,
    C同契約規定には自動更新条項が規定されているところ,当事者から契約を終了する旨の申出をした事実は見当たらず,被控訴人がそれまでの過払金を清算した事実もないから,第1取引の契約関係は自動更新されているはずであること,
    D控訴人は,第2取引を開始する際,運転免許証の写しを提出したのみで与信判断に必要な給与明細書等の資料を一切提出していないこと(乙イ10),
    E第1,第2取引を通じて控訴人の会員番号は,取引の連続性を示す「−01」の識番を除き,店番は「4108」,会員番号は「00921」と同一であること(甲1の1・2,乙イ10)等の事情を照らすと,本件の第1取引と第2取引については,第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在すると認めるべき特段の事情がある(最高裁判所平成20年1月18日第二小法廷判決・民集62巻1号28頁参照)というべきであって,一連計算がされるべきである。」

   2 原判決6頁17行目末尾の次に行を改めて,次のとおり加える。

    「 控訴人は,第1取引と第2取引との二つの取引に分けられるとしても,第1取引によって生じた不当利得返還請求権をもって第2取引の借入金債務と対当額で相殺することができると主張するが,第1取引と第2取引とは別個の取引であり,第2取引における個々の貸付金債権は,控訴人が相殺の意思表示をするまでに第2取引における弁済及び過払金の充当により既に消滅していて,相殺に供されるべき受働債権たり得ないのであるから,対立する両債権が有効に存在することを前提とする相殺をすることはできない。」

   3 原判決6頁22行目末尾の次に行を改めて,次のとおり加える。

    「 控訴人は,第1取引と第2取引についでは一連計算がされるべきであると主張するが,控訴人が引用する平成20年1月18日の最高裁判所第二小法廷判決に照らし,第1取引と第2取引とが法律上も事実上も別個の取引であることは明らかである。

    すなわち,控訴人は,第1取引においては3万円前後の返済を続けていたにもかかわらず,第1取引の最終取引日の昭和59年7月20日には残元金100万円と約定利息2万4000円の合計102万4000円を支払って残高を0円にしたものであり,その後,第1取引の期間と比較しても相当長期に及ぶ1年1か月以上の期間にわたり,被控訴人との間で全く取引を行わなかったものである。これらのことからすれば,昭和59年7月20日の時点で控訴人が被控訴人との取引を終了させる意思を有し,その後の取引を想定していなかったことは明白である。

    また,控訴人は,第2取引開始時にも第1取引の契約関係が自動更新されていたなどと主張するが,仮に控訴人の主張するとおりであれば,昭和60年8月30日から始まる第2取引も第1取引の基本契約書に基づいて行えばよいだけのことであるのに,控訴人は,同日,第2取引の開始に当たり,借入申込書に所定の事項を記入するなどして被控訴人に対し新たな借入申込みをし,限度借入基本契約を締結して取引を開始しているのであり(乙イ10),これは,第1取引の最終取引日に控訴人と被控訴人間の基本契約が一旦終了していたからにほかならない。

    さらに,控訴人は,第2取引開始時に被控訴人は控訴人から運転免許証の写しの提出を受けたのみで与信判断をしていないこと,控訴人の会員番号が第1,第2取引とも同一であることをもって,第1,第2取引につき一連計算がされるべきであると主張するが,被控訴人は,第2取引に際して,控訴人から申告された情報等をもとに信用情報機関に登録された情報の照会を行って与信判断をしていたのであり,そのことは限度借入基本契約書(乙イ10)の契約規定6条からも明らかであるし,会員番号については,貸付残高等の管理における借主の同一性の判断上必要とされるものであり,第1,第2の基本契約で同一番号によって処理することをもって,第1,第2取引について一連計算すべきことの根拠とするのは相当ではない。」

   4 原判決7頁2行目末尾の次に行を改めて,次のとおり加える。

    「 なお,控訴人は,控訴人に生じた不当利得返還請求権の消滅時効は,被控訴人との間の取引が終了した時から進行すると主張するが,仮に,取引が継続している限り個々の取引ごとには消滅時効が進行しないというのであれば,悪意の受益者であることによる利息も最終取引日から付するべきである(大阪高等裁判所平成19年(ネ)第3343号平成20年4月18日判決。乙イ14)。そして,各取引ごとには過払利息を付さない計算をすると,控訴人の過払金は平成19年3月16日時点で220万4013円となり(乙イ15),控訴人の過払金返還請求権は平成19年3月16日時点で220万4013円を超えては存在しない。」

   5 原判決7頁5行目の「である。」を次のとおり改める。

    「であるところ,控訴人は,原判決言渡し後の平成20年12月19日付け請求書により,被控訴人に対し,原判決が認容した上記金額146万7582円及びうち117万3000円に対する平成19年3月17日から平成20年12月29日まで年5分の割合による利息の合計157万2264円を支払うよう請求してきた(乙イ12)ので,被控訴人は,平成20年12月25日,控訴人に対し,157万2264円を支払った(乙イ13)。 よって,原判決は取り消されるべきであるとともに,控訴人の本件請求は棄却されるべきである。

    3 被控訴人の消滅時効の主張に対する控訴人の反論

      本件において,控訴人は,被控訴人との間で基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していればその返還請求権を行使することとし,それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず,これをそのまま後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという過払金充当合意を含む各基本契約に基づいて,借入れと返済を繰り返し,継続的に取引を行ってきたのであるから,控訴人の被控訴人に対する過払金返還請求権の消滅時効は,控訴人と被控訴人との取引の終了日である平成19年3月16日から進行するというべきである(最高裁判所第一小法廷平成21年1月22日判決・裁判所時報1476号2頁)。

      また,控訴人と被控訴人との取引は昭和51年4月7日に基本契約が締結され,その後昭和56年8月7日に過払状態となって以降,平成19年3月16日に取引を終了するまで,約31年間にわたって恒常的に過払いの状態が続いていた。この取引期間中,被控訴人は,貸金業法の正当な解釈に従った措置を十分に講じることなく,利息制限法所定の制限を超えた利率による利息の支払義務を前提として貸金債権の請求を行ってきた。

      これに対して控訴人は,被控訴人から貸金の返済を請求される立場にあり,法律知識の点でもこれに基づいて対処する能力の点でも著しく劣った状態にあって,過払状態の発生後早い段階での不当利得返還請求権の行使を控訴人に期待することは実際に困難であった。被控訴人は,過払金の発生を比較的容易に認識し得る立場にありながら,貸金の返還請求を続けることによって,結果的に過払金の累積という事態がもたらされたということができ,本件のように過払状態の下で借入れと返済が長期間に及んでいる場合に,上記のような立場にある被控訴人による消滅時効の援用を認めることは,誠実な債務者に不利益を強いる一方で,貸金業法を順守しなかった貸金業者に対して長期間に及ぶ過払状態の放置による不当利得の保持を容認することにつながるものであって,クリーンハンドの原則に反し,信義にもとる結果をもたらすものとして許されないというべきである。

      したがって,本件においても,被控訴人の消滅時効の援用は,権利の濫用又は信義則違反に当たり許されない。」

第3 当裁判所の判断

 1 当裁判所は,控訴人の本件請求は,被控訴人に対し,165万7050円及びうち82万2634円に対する平成19年3月17日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がないものと判断する。その理由は,次のとおり付加し,又は訂正するほかは,原判決の事実及び理由欄の「第3 当裁判所の判断」の「(被告プロミス関係)」の項に記載のとおりであるから,これをここに引用する。

 (1)原判決8頁7行目末尾の次に行を改めて,次のとおり加える。

  「 この点について,控訴人は,第2,1,(3)において,@ないしEの事情を指摘し(上記当審で付加した部分),本件の第1取引と第2取引については一連計算がされるべきであると主張するが,採用することはできない。

  すなわち,当事者間に争いのない本件における取引経過に照らすと,第1取引の期間か約8年4か月に及ぶものであったことは控訴人の主張するとおりであるが,その後の第2取引までの約1年1か月の空白期間を第1取引の期間と比べてわずかなものであるとし,第2取引との一連一体性を認めるべきであるとすることについては,これをにわかに首肯することができず,むしろ,第1取引の期間の昭和59年7月20日に102万4000円というそれまでにみられなかった金額の返済がされ(それまでの間の返済額はその多くが2万から5万円前後。ただし,昭和55年4月7日に72万9604円の返済をしたことが認められるが,これについては,同日に新たに100万円を借り入れていることから,取引の継続性を肯定することができる。),その後,控訴人において1年以上にわたって被控訴人からの借入れを一度もせずに経過したこと,約1年1か月という期間は,一般市民生活の実態に照らしても決して短い期間とはいえないことに鑑みると,第1取引については,昭和59年7月20日に終了したと認めるのが相当である。

  また,第1取引が自動更新されたとする控訴人の主張は,第2取引に際して基本契約書(乙イ10)が改めて作成された事実に照らし採用できず,第2取引の開始に際して,被控訴人は控訴人から運転免許証の写しの提出を受けただけで与信調査をしていないという控訴人の主張も,控訴人限りの判断にすぎず,第2取引に際して,控訴人から申告された情報等をもとに信用情報機関に登録された情報の照会を行って与信判断をしていたとする被控訴人の説明を排斥し得るものではなく,信用情報センターへの登録や会員番号の同一性についても,被控訴人の貸付残高等の管理における借主の同一性の判断上必要とされるとの被控訴人の説明を排斥し得るものとは認め難く,結局,本件においては,控訴人が引用する平成20年1月18日の最高裁判所第二小法廷判決が判示する特段の事情を認めることはできず,控訴人の上記主張は理由がないというべきである。」

 (2)原判決8頁8行目冒頭から同20行目末尾までを次のとおり改める。

  「(2)ところで,被控訴人は,控訴人に生じた過払金返還請求権について消滅時効を援用するところ,控訴人は,被控訴人との間で基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していればその返還請求権を行使することとし,それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず,これをそのまま後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという過払金充当合意を含む基本契約に基づいて,借入れと返済を操り返し,継続的に取引を行ってきたと認められるから,取引継続中は過払金充当合意が法律上の障害となり,これにより過払金返還請求権の行使が妨げられていると解するのが相当である。

  したがって,控訴人の被控訴人に対する過払金返還請求権の消滅時効は,法律上の障害が無くなったと考えられる控訴人と被控訴人との各取引の終了日から進行するというべきである(前記最高裁判所第一小法廷平成21年1月22日判決,最高裁判所第三小法廷平成21年3月3日判決,最高裁判所第二小法廷平成21年3月6日判決参照)。

  (3)そうすると,上記認定のとおり,第1取引と第2取引とは別個のものというべきであるから,第1取引により発生した過払金返還請求権は,第1取引の終了した昭和59年7月20日から10年の経過により,時効消滅したというべきである。これに対し,第2取引によって発生した過払金返還請求権については,第2取引の終了日である平成19年3月16日から進行するというべきであるから,未だ時効消滅したとはいえないことは明らかである。

   控訴人は,被控訴人による消滅時効の援用が権利濫用又は信義則違反に当たり許されないと主張するが,控訴人の主張事実を考慮しても,本件の取引の経過に照らすと,被控訴人の消滅時効の援用が権利濫用や信義則違反に当たると認めることはできない。

   また,被控訴人は,第2取引によって生じた不当利得について悪意であったと認めるのが相当である(最高裁判所第二小法廷平成19年7月13日判決・民集61巻5号1980頁)ところ,被控訴人は,仮に,取引が継続している限り個々の取引ごとには消滅時効が進行しないというのであれば,悪意の受益者であることによる利息も最終取引日から付するべきであると主張するが,本件において,貸金業者である被控訴人が過払金について悪意でありこれに利息を付さなければならないということと,消滅時効について,借主である控訴人による過払金返還請求権の行使を妨げる事情がどの段階で解消すると解するかは別異の問題であって,過払金返還請求権の消滅時効の始期を最終取引日としたからといって,過払金の発生及びそのことについて被控訴人が悪意であったことが認められるにもかかわらず,過払金に対する法定利息の発生を最終取引日からとしなければならないものではないから,被控訴人の上記主張は採用しない。

   したがって,被控訴人は,第2取引終了日において,別紙利息制限法再計算シート(昭和60年8月30日から平成19年3月16日)記載のとおり,平成19年3月16日の時点で過払金229万0216円及び未収法定利息93万9098円の合計322万9314円及びうち229万0216円に対する平成19年3月17日から支払済みまで年5分の割合による法定利息を支払う義務があったところ,被控訴人は,控訴人に対し,平成20年12月25日に,157万2264円(146万7582円及びうち過払金117万3000円に対する平成19年3月17日から平成20年12月29日まで年5分の割合による法定利息の合計額)を支払ったことが認められるから(乙イ12,13),結局,被控訴人は,控訴人に対し165万7050円及びうち82万2634円(上記第2取引終了日の過払金229万0216円に146万7582円を充当した後の残額)に対する平成19年3月17日から支払済みまで年5分の割合による法定利息を支払う義務がある。」

 (3)原判決9頁26行目の「原告の」から同10頁2行目末尾までを次のとおり改める。

  「控訴人の被控訴人に対する主位的請求は,165万7050円及びうち82万2634円に対する平成19年3月17日から支払済みまで年5分の割合による法定利息の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がなく,予備的,三次的請求はいずれも理由がない。」

 2 以上のとおりであるから,当裁判所の上記判断と結論を異にする原判決を控訴人の本件控訴及び被控訴人の附帯控訴に基づいて変更することとし,その余の控訴人の請求は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。

↑↑↑↑↑↑ ここまで 判決 ↑↑↑↑↑↑

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posted by 過払い太郎 at 2009年07月27日 | Comment(2) | TrackBack(1) | 判例 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

東京高裁平成21年6月25日判決

これは、
「5%利息は過払金発生時から支払う」とした
東京高裁平成21年6月25日判決をリライトしたものです。
(原審は「東京地裁平成21年1月27日判決」です。)

過払利息(5%)の発生は最終取引日とする
山口地裁平成21年2月25日判決」や
札幌高裁平成21年4月10日判決」とは、正反対の判決です。

判決原文については、
最新裁判例 法律相談のひろば ベル法律事務所」の
東京高等裁判所平成21年6月25日判決」をご覧下さい。

↓↓↓↓↓↓ ここから 判決 ↓↓↓↓↓↓

平成21年6月25日判決言渡

平成21年(ネ)第862号 不当利得返還請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所平成20年(ワ)第29269号)

判 決

控訴人 CFJ合同会社

被控訴人 弁護士

主 文
 1 本件控訴を棄却する。

 2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第1 控訴の趣旨

 1 原判決中,262万3987円及びこれに対する平成20年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を命ずる部分を超える部分を取り消す。

 2 上記取消しに係る被控訴人の請求を棄却する。

 3 訴訟費用は,上記取消しに係る部分につき,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

第2 事案の概要
 1 本件は,被控訴人が,控訴人に対し,貸金業法の適用ある基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引(以下,単に「貸金取引」という。)において利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分(以下「制限超過部分」という。)を元本に充当することによって過払金が生じたとして,不当利得返還請求権に基づき,過払金及び過払金の発生時から支払済みまでの民法704条前段所定の利息の支払を求めた事案である。

 2 原判決は,被控訴人の請求を認容したので,控訴人が前記第1の控訴の趣旨記載のとおりの範囲について,原判決を不服として控訴をした。

 3 被控訴人の請求原因

   原判決の「事実及び理由」中の「第2 当事者の主張」の1に記載のとおりであるから,これを引用する。

 4 請求原因に対する認否と主張

 (認否)

 (1) 請求原因(1)のうち,控訴人と被控訴人との間に原判決別紙計算書記載のとおりの取引があったことは認め,過払金が発生したとの主張は争う。

 (2)同(2)(過払についての悪意)の事実は否認する。

 (主張)

 (1) 最高裁平成19年7月13日判決(民集61巻5号1980頁)を前提としても,控訴人には,平成18年法律による改正前の貸金業法(当時の題名は貸金業の規制等に関する法律)43条1項の規定の適用があると認朧していたものであり,そのような認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情がある。

     すなわち,被控訴人との取引に用いられた基本契約書(乙6),ATMにより顧客に交付していた領収書兼ご利用明細書(乙7)は,貸金業法17条所定の書面の要件を満たしており,顧客が弁済をしたときにATMから排出されて交付される領収書兼ご利用明細書(乙8)は,同法18条所定の書面の要件を満たしていた。

     また,最高裁平成18年1月13日判決(民集60巻1号1頁)までは,同法43条1項,3項に定める「利息として任意に支払った」の解釈適用については,最高裁平成2年1月22日判決(民集44巻1号332頁)に依拠して判断されていた。

 (2) 最高裁平成21年1月22日判決(判例タイムズ1289号77頁)を前提として解釈すると,被控訴人の過払金債権に係る民法704条前段所定の利息は,控訴人と被控訴人との貸金取引が終了するまで発生しない。

     上記最高裁判決は,貸金取引において,顧客の利息制限法1条1項所定の制限利率を超えた利息の弁済によって過払金が発生した場合において,弁済当時他の借入金債務がなければ上記過払金をその後に発生する借入金債務(貸金債権)に充当する旨の合意(以下「過払金充当合意」という。)が当事者間に存在したものであるとして,この合意が過払金に係る不当利得返還請求権(以下「過払金返還請求権」という。)の行使について法律上の障害になるとし,過払金返還請求権の消滅時効は,特段の事情のない限り,貸金取引の終了時まで進行しないものと解するのが相当であるとした。

     民法704条前段所定の利息は,不当利得者に通常かつ最小限の損害賠償をさせる趣旨であると解すべきである。被控訴人の過払金返還請求権には,上記最高裁判決によれば,不確定期限が付されており,直ちに返還すべきものではなく,控訴人が過払金の利得を保持することに不法性はないのであるから,損害賠償の性質を有する民法704条前段所定の利息を発生する根拠はない。

     したがって,過払金充当合意が存続している貸金取引の終了時までは,悪意の受益者について,民法704条前段所定の利息は発生しないというべきである。

 (3) 本件の貸金取引は,いわゆるリボルビング方式によるものであり,この方式による貸金取引についての利息制限法所定の制限利率の適用については,同法所定の制限利率によって引き直し計算された残元金と新たな貸付金額との合計額を元本とすべきであり,制限利率を一律18パーセン卜として計算する披控訴人の主張は不当である。

 (4) 以上によれば,被控訴人の控訴人に対する過払金は,平成20年4月30日の時点において,262万3987円(別紙計算書)を超えて存在しないのであるから,これと異なる原判決は不当である。

第3 当裁判所の判断

 1 当裁判所も,被控訴人の請求は全部理由があるものと判断するが,その理由は以下のとおりである。

 2 請求原因(1)のうち,控訴人と披控訴人との間において,平成7年3月8日から平成20年4月30日まで,原判決別紙利息制限法再計算シートの「年月日」欄の目に,同「借入金額」欄及び「弁済額」欄記載の貸付及び弁済がされる取引があったことは当事者間に争いがない。

 3 請求原因(2)(過払についての悪意)について

   貸金業者が制限超過部分の受領につき貸金業法43条1項の規定の適用が認められない場合には,当該貸金業者は,同規定の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り,法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者,すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである(最高裁平成17年(受)第1970号平成19年7月13日第二小法廷判決・民集61巻5号1980頁)。

   控訴人は,本件について,上記「特段の事情」があると主張して,前記した乙6から8の書証を提出する。しかし,上記書証にある基本契約書面等を用いて貸金取引をしていたということだけでは,控訴人の主張(控訴理由書)に照らしてみても,控訴人が,披控訴人との貸金取引において,貸金業法43条1項の規定の適用が認められるとの認識を有し,その認識を有するに至ったことについてやむを得ない特段の事情があったと認めるには足りず,他に上記特段の事情があったことをうかがわせる証拠もない。

   したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。

 4 民法704条前段所定の利息の発生時期について

   控訴人は,前記最高裁平成21年1月22日判決に照らすと,披控訴人との貸金取引において,過払金を後に発生した借入金債務に充当する旨の過払金充当合意があり,被控訴人の過払金返還請求権には貸金取引の終了という不確定期限が存在するものであるから,民法704条前段所定の利息が損害賠償の性質を有することに照らすと,披控訴人の過払金返還請求権に利息が発生する実質的根拠がない旨主張する。

   しかし,利息債権は,遅延損害金と異なり,法令の定め又は当事者の合意がない限り,元本債権の発生の時から発生するものである。民法704条の規定が定める悪意の受益者の「利息」(利息債権)について,その文辞上発生時期が明定されていないのであるから,元本たる過払金返還請求権の発生と同時に利息債権も発生するものと解すべきである。

   また,本件のような貸金取引において,過払金が発生した場合に,当事者間に過払金充当合意が存在し,過払金返還請求権の行使について法律上の障害になる以上,上記内容と異なる合意が存在するなど特段の事情がない限り,同貸金取引の終了時点から過払金返還請求権を行使することができるという意味において不確定期限を定めたものであると解するとしても,そのことから当然に過払金返還請求権についての民法704条前段所定の利息の発生がないと解する法的根拠があるとはいえない。仮に上記利息の性質を損害賠償であるとしてみても,損害賠償請求権に利息が発生する場合,その弁済期限を猶予したとしても,利息が発生しなくなるということにはならないことは明らかである。

   さらに,前同様に過払金を後に発生した借入金債務に充当する合意があることから,過払金返還請求権を行使しない合意があると認めることができるとしても,上記過払金について利息を発生させないことの当事者の合意をすることが,本件のような貸金取引における当事者の通常の意思であると解することもできないから,過払金返還請求権に利息を発生させない合意が含まれていることを推認することもできない。

   したがって,控訴人の上記主張は,本争点とは別異の前記過払金返還請求権の消滅時効の起算点に関する最高裁平成20年(受)第468号同21年1月22日第一小法廷判決・裁判所時報1476号2頁,最高裁平成20年(受)第543号同21年3月3日第三小法廷判決・裁判所時報1479号1頁,最高裁平成20年(受)第1170号同21年3月6日第二小法廷判決・裁判所時報1479号2頁を前提とするものであるから,採用することができない。

 5 利息制限法1条1項所定の制限利率について

   控訴人は,いわゆるリボルビング方式による本件のような貸金取引についての利息制限法所定の制限利率の適用については,同法所定の制限利率によって引き直し計算された残元金と新たな貸付金額との合計額を元本とすべきである旨主張する。

   しかし,利息制限法所定の制限利率の適用は,金銭消費貸借契約における名目上の賃金額を基準として適用されるものであり,利息の天引があったとしても,天引前の名目貸金額が基準とされるものであるから,利息制限法所定の制限利率により引き直された残元金を基準とすることは当を得ない。甲1によれば,本件の貸金取引は,最終の貸付けがあった平成20年4月30日まで一貫して10万円を超える貸付残高で推移したものであるから,本件においては,利息制限法所定の制限利率を年18パーセン卜として利息の引き直し計算をするのが相当である。

   したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない。

 6 以上の検討をもとに,披控訴人の控訴人に対する過払金を計算すると,原判決別紙利息制限法再計算シート記載のとおり,最終取引日である平成20年4月30日時点で329万6619円となるから,同金額及びこれに対する翌5月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による民法704条前段所定の利息の支払を求める披控訴人の請求は理由がある。

 7 よって,これと結論を同じくする原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。

↑↑↑↑↑↑ ここまで 判決 ↑↑↑↑↑↑

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posted by 過払い太郎 at 2009年07月21日 | Comment(2) | TrackBack(0) | 判例 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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